テラの暗殺者V(4)


1800年 1月28日 PM12:30


ここは、前日の夜ジタンたちとキリオが戦った場所――――
木々には穴が無数に開いており、
また、地面は何か大きな爆発でもあったのか大きく抉れていた。
(ここで一体何があったんだ?)
ジタンたちの足跡を追って先程ここを訪れた通称『焔色の髪の男』――――サラマンダーは素直にそう思った。
地面についている足跡や血からここで戦闘があったのは確かだった。
足跡からラニではない正体不明の人物がここでジタンたちと戦ったことまではわかった。
(あの女の足跡でもモンスターの足跡でもない。ならばこの足跡はいったい――?)
だが、サラマンダーはそれ以上のことは考えなかった。
(まあいい。死体がないところから見て標的は無事ということだろう。先を急ぐとするか。)
サラマンダーは再びジタンたちの足跡を追って歩き始めた。
だが、この時ジタンたちはすでに黒魔道士の村にたどり着こうとしていた。
サラマンダーがジタンたちに追い着きジタンと一騎打ちをするのは1月31日の夕方近くの事になる――――


同じ頃テラでは――――
ガーランドがキリオを治療ポッドに入れていた。
彼はキリオにもう勝ち目がないことがわかると、古代魔法『デジョン』で彼をテラへと転送していたのだった。
ガーランドはこの数日のキリオの戦闘データを分析していた。
召喚獣の攻撃をまともではないにしろ受けながら死に至らなかったのは意外だった。
さらに、拾った武器を即座に理解し利用することも驚きだった。
しかし――――
「やはりどんなに戦闘能力が高くとも完璧ではないということか。」
キリオの二度の敗北はガーランドにそう結論させざるを得なかった。
それともう一つ、ガーランドは意外な人物を発見した。
12年前にクジャがガイアへ捨てたジェノム――――ジタンが生きていたのだ。
「奴がクジャの邪魔をしようとしておったとはな。しかし、奴ならばクジャよりも役に立つかもしれん。」
ガーランドは機会があればジタンとキリオを直接対決させようと決めた。
ジタンの戦闘データを計測するために。


そしてその日は思ったよりも近かった。
2月1日、クジャはインビンシブルを使ってバハムートを入手した。
ガーランドはクジャを危険視した。
そして2月6日、ガーランドは自らインビンシブルでガイアへと出撃した。
もちろんキリオを乗せて。
キリオの今回の任務は、今まで通り『召喚士の抹殺』と『邪魔する者も同様に抹殺』だが、
今回はさらに二つの任務が加えられた。
一つは『クジャの抹殺』
もう一つは『ジタンの抹殺』だった――――

inserted by FC2 system