テラの守護者(2)『トラップ』





(ジタン&クイナ)
ジタンは持ち前の運動神経で、
クイナもその体格に似合わぬ跳躍で、迫り来る壁を次々と飛び越えた。
最後の壁を飛び越えて二人は一息ついた。
背後にあった通路は完全に塞がれてしまった。
これで先に進むしか道はなくなった。
「アイヤー!!ミンチ肉にされるところだったアルよ!」
クイナらしい表現だった。
「他のところもこんなワナがしかけられてんのか? ダガー・・・・・・。無事だといいけど・・・・・・。」
やはり自分が一緒に行くべきだったとジタンは少し後悔した。
そして、二人は再び先に進み始めた――――


(ガーネット&エーコ)
ジタンの心配をよそにガーネットとエーコは順調に奥深くへと進んでいた。
祠の中は魔物どころか、虫一匹いなかった。
「だあれもいないのねえ・・・・・・。」
「ここまで静かだとちょっとあやしいわね・・・・・・。」
二人の率直な感想だった。
「エーコたちに恐れをなして逃げちゃったのね、きっと!」
エーコが楽観的に言った。
「そうだといいけど・・・・・・。」
ガーネットは逆に不安になっていた。
「んもうっ! ダガーがそんなふうにオクビョウだから、エーコがヤキモキしなきゃいけないんだからね。」
エーコがガーネットの方を振り返りながら言った。
「な、なんの話?」
「エーコもいろいろとタイヘンなのだわ・・・・・・ってお話。」
「・・・・・・」
ガーネットにはその意味が分からなかった。
その時、かすかな物音がガーネットの耳に届いた。
見上げると頭上から氷の塊が落下してきたのが見えた。
「!? あぶないっ!!」
ガーネットはエーコを庇いながらそれを回避した。
「な、なに!?」
「罠がしかけられているのよ! もしかしたらまだ・・・・・・。」
ガーネットが言い終えないうちに2個目が落下してきた。
二人は辛うじてそれを避けた。
「キャッ!!」
「急いで駆け抜けましょ!!」
二人は次々と落下してくる氷の塊を避けつつさらに奥へと駆けていった――――


(ビビ&スタイナー)
「ビビ殿、大丈夫でござるか!?」
「うん、大丈夫だよおじちゃん。」
二人が祠に入った後も相変わらず強風が吹きつけており、スタイナーの後をビビが続くという態勢は変わらなかった。
しかし、幸いにも魔物は現れず、前方に鏡を置くと思われる場所も見えてきた。
「もう少しの辛抱でありますぞビビ殿!」
スタイナーがビビを励ました。
しかし、ビビはただスタイナーの後ろを歩いているだけで、実際辛抱しているのはスタイナーだけなのだが・・・。
その時、風に乗って前方から何かが飛んでくるのがスタイナーの目に写った。
それは、無数の鋭利な刃物だった。
「!! ビビ殿、自分の後ろから決して体を出してはなりませぬぞ!!」
スタイナーは『ルーンブレイド』を抜くとビビを守りながら次々とそれらを薙ぎ払っていった―――


(フライヤ&サラマンダー)
「誰もおらぬようじゃな。どのような恐ろしき場所かと思っておったが・・・。」
「全くだ・・・。」
この祠の中も少々暑いだけで魔物も現れず何の特徴もなかった。
それだけに百戦錬磨のこの二人には少々物足りなかった。
しばらくして、二人は壁や床だけでなく天井まで穴だらけになっている通路にたどり着いた。
「この穴は一体何なのじゃ?」
すぐに答えは出た。
穴から火柱が吹き出したのだ。
「そういうことか・・・タイミングを誤ると即、黒焦げ・・・。少しは楽しめそうだ。」
サラマンダーは次々と吹き出す火柱を避けつつ奥へと走り出した。
「ずいぶん気の早い奴じゃのう。」
そして、フライヤも後から続いた。
奥に進むに連れ火柱の密度は増してきた。
しかし、二人は少しも怯むことなく無数の火柱をかわしながらさらに奥へと進んでいった――――
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