テラの守護者(3)『出現』





『地脈の祠』――――
ジタンとクイナはあれからも数々の罠に苦戦したものの、ようやく鏡を置く部屋へとたどり着いた。
「オホ! きっとあそこが鏡を置く場所アルよ!」
クイナが台座へ駆け寄った。
ジタンも後から続く。
「ここに鏡を置けばいいんだな・・・・・・。」
その時、突然二人の頭上から恐ろしげな声が響いてきた。
「待ちわびたぞ・・・・・・。」
「!?」
二人は声の方を見上げた。


同じ頃『火の祠』では――――
「案外、楽な行程であったな・・・・・・。おぬしにはちと物足りなかったのではないか?」
「・・・・・・。」
二人にとってはやはりあの程度の罠など軽い物であった。
「後はここに鏡を置けば・・・・・・。」
その時、サラマンダーは何者かの気配に気付いた。
「!? 下がれ、フライヤ!」
「!?」
フライヤは台座から飛び退いた。
次の瞬間、台座から上半身が女で、下半身が蛇のような魔物が現れた。
そして、魔物は突然言葉を発した。
「クジャの言った通りであったな・・・・・・。ネズミ共が迷い込んでくるであろうと・・・・・・。」


『地脈の祠』では、全身が骸骨の姿をした魔物がジタンとクイナの前に現れていた。
「おまえ、クジャの手下か?」
ジタンが魔物に聞いた。
「あんなのに手をかしてもロクなコトないアルよ!!」
その通りだった。
協力したブラネや二人の宮廷道化師はその命を失い、黒魔道士の村の住人も利用された末に見捨てられたのだった。
「違うな・・・・・・我らはテラの守護者(ガーディアン)・・・・・・。」
土のガーディアンは二人に言った。
「テラの守護者!?」


『火の祠』でも同じような会話があった。
「そう、我らはテラの守護者、言わばテラの力、そのものだ・・・・・・。」
火のガーディアンが言った。
「いったいテラとは何なのじゃ!」
フライヤが聞いた。
「我らは語るために守護者になったのではない・・・・・・。貴様らのようなネズミを始末することに至上の喜びを覚えるからだ。」
火のガーディアンはフライヤの質問に答えずに己の存在する理由を説明した。
「・・・・・・自らの力を証明するため・・・・・・。」
サラマンダーが静かに言った。
「ほう・・・・・・わかっておるではないか! しかし貴様らごときからそれが得られるかな!?」
「みっともねえな・・・・・・。」
サラマンダーが相手をバカにしたような口調で言った。
「なんだと?」
火のガーディアンが語気を荒げた。
「こんなへんぴな所で闘う相手を探さなきゃいけねえなんてな・・・・・・。いや、まるでどこぞの誰かさんみてえだ・・・・・・。力の使い道を探すことから逃げて、強い相手を探すことばかりしていた・・・・・・。」
サラマンダーは自嘲の笑みを浮かべた。
「サラマンダー・・・・・・。」
フライヤにはそれがサラマンダー自身を指していることが分かっていた。
「貴様・・・・・・何を言っている?」
火のガーディアンには理解ができなかった。
「そのことの意味はこれから身をもって教えてやろうではないか!」
そう言いながらフライヤが『ホーリーランス』を、サラマンダーも『タイガーファング』を右手に装備して身構えた。
「おもしろい・・・・・・だが後悔させてやろうぞ、そのような口をきいたことを!」
火のガーディアンが二人に襲いかかった。


一方、『地脈の祠』では――――
「クジャは8匹のネズミが来ると言っておったはずだが・・・・・・?」
土のガーディアンは訝しげに言った。
「おもてなしの準備でもしてくれてたのか? そりゃ悪かったな、たったふたりで!」
「でもワタシたちふたりで、すべてたいらげてしまうアルよ!」
ジタンは『オリハルコン』と『ダガー』を、クイナは『銀のフォーク』をそれぞれ構えた。
「そうか、他の場所へも同時に・・・・・・。無謀なことをするネズミもいたものだ・・・・・・。」
「やってみなきゃわかんねえだろ?」
「食べてみなきゃわからないアルよ?」
そう、今まで彼らはそうやってきたのだ。
「貴様らのような下等な生命が、テラへ向かっていったい何とする?」
土のガーディアンが問いかけた。
「わかんねえ野郎だな・・・・・・。行ってみなきゃわかんねえだろ?」
「食べてみるまで本当の味はわからないアル! ワタシ世界を旅してそのことわかったアルよ!」
それを聞くと土のガーディアンは攻撃態勢に入った。
「よかろう・・・・・・心して味わうが良い、本当の恐怖を!!」
世界各地の4つの祠で同時に戦闘が始まった――――


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