Resistance(8)





スタイナーとベアトリクスは女王の間へ突入したが中にはフライヤの姿もブルネオの姿も無く、隠し通路の扉が開いていた。
恐らくブルネオはここから逃げ出し、フライヤはその後を追ったのであろうと察した二人はすぐに階段を駆け下りていった。


その頃ガルガントステーション前では、ブルネオが何かを小脇に抱えてアレクサンドリアからガルガントを使って逃げ出そうとしていた。
そこにフライヤが追い付いた。
「逃がさんぞブルネオ! もうこの城は制圧したも同じ。おとなしく降伏するのじゃ!!」
フライヤは『パルチザン』をブルネオに向けた。
だが、追い詰められたにもかかわらず、なぜかブルネオは余裕の表情だった。
「ほう、どうやら勝ったつもりのようだが、これを見てもそう言ってられるかな?」
ブルネオは脇に抱えていたものをフライヤに見せた。
それを見たフライヤは目を見開いた。
「!? まさか! パック王子!!」
ブルネオが抱えていたのはブルメシアの王子のパックだった。
パックは意識があるものの縄できつく縛られ、口には猿轡がされており話をすることができないようだった。
「そのまま動くなよ。これを爆発させてほしくなかったらな。」
ブルネオは懐から爆弾を取り出した。
「おぬし卑怯じゃぞ!!」
「何とでも言え、切り札ってのは最後まで取っておくのが裏の世界の常識なんだよ。」


そこへスタイナーとベアトリクスが駆けつけた。
「フライヤ! ブルネオは――――」
「おっと、お前らも動くな!」
ブルネオが二人を静止させた。
スタイナーたちはその場の光景を見て事情を察した。
「その様子じゃあ、レイガンもルーシアもやられたらしいな。役に立たない連中だぜ。」
「貴様これからどこへ逃げるつもりであるか? 逃げる場所などどこにもないぞ!」
「そうです。ブラネ様の所に行ったところで処刑されるのは目に見えています。おとなしく降伏なさい!」
だが、ブルネオはなおも余裕の表情を見せた。
「心配はいらねえよ。俺はこの大陸にいくつか隠れ家を持ってるからな、逃げ延びてみせるさ。まあこのガキはどうなるか知らねえがな。」

その時、ブルネオの背後で生き物の鳴き声がした。
「おっと、どうやらガルガントが来たみてえだな。じゃああばよ。」
だが、後ろを振り返ったブルネオは凍り付きパックを地面に落としてしまった。
目の前にいたのがガルガントではなくラルヴァイマーゴであったからである。
慌てて逃げようとするブルネオをラルヴァイマーゴは横に跳ね飛ばした。
ブルネオは地面に叩きつけられた。
「王子!!」
フライヤがその隙にパックに駆け寄った。
一方、ラルヴァイマーゴは口を大きく開けながらブルネオに迫って来た。
「な、何だお前? 何をする気だ!? やめろ! 来るなぁぁぁ!!!!」
ブルネオは爆弾に火をつけ、ラルヴァイマーゴの口めがけて投げつけようとしたが一歩遅く爆弾ごと一口で呑み込まれてしまった。
そして間もなく、ラルヴァイマーゴの腹部が光り始めた。
「いかん、爆発するのである!」
「フライヤ、早く逃げるのです!」
スタイナーとベアトリクスが一足先にその場から離れた。
次の瞬間、ラルヴァイマーゴの体が大爆発を起こした。
フライヤは間一髪のところでパックを両腕に抱えてその場を離れ、爆発から逃れる事ができた。


その後、スタイナーたちは休む間もなく外のバクーたちの救援に向かおうとしたが、そこへブランクがやって来て、外の方はすでに終わったとの報告を聞き安堵の表情を浮かべた。


こうして、アレクサンドリア城を僅かな時間で制圧するという作戦は見事成功し、
この戦いは終焉した――――

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