Ｇａｉａ　Ｔｉｍｅｓ（6）

Ｇａｉａ　Ｔｉｍｅｓ
２００４年　３月　５日
ジェノムカンパニー　倒産！！
約５０００年前に現会長のガーランド氏が設立し、これまで自然環境を復元するためのイーファの樹の植樹や、新型飛空艇インビンシブルを実用化するなどして、他の追随を許さないほど発展した魔法技術会社『ジェノムカンパニー』が、長男のクジャ氏（２４歳）に代替わりしてから僅か５時間で倒産するという事態となった。　倒産の原因には、販売不振や赤字累積などが通常挙げられるが、この会社の場合は、クジャ新社長の乱行による会社の信用失墜に原因があったようだ。若社長の乱行　クジャ社長の乱行は社内でも有名らしく、本紙の取材によると、入社する前から会社の経費をトレノのオークションやペットの銀竜に私用していたらしい。　そして副社長になってからは、自分の美意識に合わないという理由でプルート課課長アデルバート・スタイナー氏（３３歳）を解雇、自分の服装も裸ネクタイと黒ビキニにするなど乱行はエスカレートの一途を辿ったそうである。	倒産する少し前の会議室の様子実は新社長就任の挨拶の場だったらしく、いかにこの会社が乱れていたかが窺える画：むふふ絵チャット隊
倒産の原因は他にもあった！？　倒産の直接の原因は新社長の乱行による信用失墜であるのは確かだが、本紙の取材で他にも原因があったことが明らかとなった。１：受付嬢の二人（６歳と１９歳）の仲が悪く、ひどい時には訪れてきた取引先の社員の前で、「オバさん、またフけたんじゃないの～？」　「なんですって、このガキ～！」と言い争いを始めてしまい、重要な取引が白紙となった。２：社員食堂の新しい料理長（７０～９０歳？）がカエル料理しか出さないため社員の利用が激減した。それでいて会社側が用意した材料は自分で全て食べてしまったため社員の不満が爆発し、何人かが会社を辞めてしまった。３：開発部に所属している窓際族の双子の老社員（ともに８８歳）が仕事上の失敗をお互いに転嫁し合ったため、対応が遅れて損害が大きくなった。４：竜騎士部の部長（２５歳）が出張先で行方不明となり、彼の婚約者であった秘書（２１歳）が彼を捜しに会社を辞めてしまったことが会社側にとって大きな損失となった。　（この部長は後日発見されて会社に戻ってきたが、記憶喪失となっており仕事が全くできず、自信も喪失したらしい）５：優秀な営業成績を収めていた黒魔道士部で、部長（見た目９歳）を始めとした部員全員が突如止まってしまったために、会社が大きな打撃を受けた。　（ワルツ課の課長は止まる直前まで「我の存在理由ハ働き続けルことのみ！！」と叫び続けていたそうだ）６：人材派遣会社から派遣されてきた男性が「自分は優秀な仕事をすることで有名だ」と豪語したため仕事を任せたところ、僅か５分で支障をきたしてしまった。実はその男は有名でもなんでもなく、まだランクＤのチンピラ社員で、行く先々で「裏企業のジャック」などの偽名を使い続けてきたらしい。７：裏稼業課の課員（２６歳）が「俺は今まで商品を売ったことはないが、売られた商品は必ず買う主義だ……」と自社の商品を全く売らずに他社の商品を買ってばかりいたため、会社の収益が激減した。８：ジタン副社長と懇意にしている清掃会社の社長（４４歳）に社内の清掃を委託したところ、クシャミで窓を汚すわ、（一方的に女性が有利の）ケンカを始めるわ、『まんまるカステラ』を食い散らかすわで却って汚くなり、社のイメージが大幅にダウンした。しかも清掃後、貴重品の幾つかが紛失していたことが判明した。　また、これらとは別にクジャ氏を社長に選んだガーランド会長にも責任があるだろう。クジャ社長には現副社長で、先日同僚の女子社員ダガーさん（１６歳）と婚約したジタン・トライバル氏（１６歳）という弟がいるのだが、彼は判断力に長け行動力に富んでいる優秀な人物と評価されているのだ。いくら兄とはいえ、乱行が目立つクジャ氏よりもジタン氏を選ぶべきではなかったのだろうか？　しかし、クジャ社長の妹（見た目１５歳）の話によると、ガーランド会長はクジャ社長を「ジタン副社長が成長するまでの繋ぎ」と考えていたらしく、以前次のようなことを口走っていたそうだ。　「少々度が過ぎたようだな、クジャよ……。今までおまえが会社で何をしようと好きなようにさせて来たが……己が立場の責任すら忘れるようになったおまえを見過ごすことはできん……」　このことから、ガーランド会長はクジャ社長の早期更迭を考えていたことが窺えるが、すでに手遅れだったと言えよう。もっとも、仮にクジャ氏が優秀な社長だったとしても、社員がこれでは倒産は時間の問題だったとも言えるだろう。　だがクジャ社長は、ガーランド会長の考えを知って自暴自棄に陥り、乱行に及んだとも言われている。
社員の今後は？　大手企業の倒産により、多くの社員が職を失い路頭に迷うわけだが、何と『アレクサンドリア社』の社長ブラネ・ラザ・アレクサンドロス１６世さん（３９歳）が彼ら全員を雇用すると発表し、世間の注目を集めている。『アレクサンドリア社』は約１０００年前に設立した企業であるが、常に『ジェノムカンパニー』に後れを取っており、人材不足にも悩まされ続けていたらしく、今度の大規模な雇用は、名実ともに自社が世界でＮｏ．１の企業である事のアピールだと思われる。『アレクサンドリア社』が今後どうなるのか、動向に注目したい。
婚約者の正体　本紙は驚くべき事実を入手した。ジタン・トライバル副社長の婚約者であったダガーさんは、実は『アレクサンドリア社』の令嬢だったのである。内部事情に詳しい者（５２歳）に話を聞いてみたところ、彼女の本名は「ガーネット・ティル・アレクサンドロス１７世」といい、令嬢暮らしが嫌になって家を飛び出して独り暮らしを始め、生活費を稼ぐために偽名を使って『ジェノムカンパニー』に入社したのだそうだ。結局家に連れ戻されることとなったわけだが、世間知らずのお嬢様には良い経験となったことであろう。　しかし一部情報によると、「ガーネットさんはブラネ社長からの命令で『ジェノムカンパニー』に入社し、歳の近いジタン副社長と結婚して会社を乗っ取るつもりだった」との専らの噂である。そういえば上の絵のガーネットさんは、どこか含みのある笑みを浮かべているようにも見えるが……。この噂が真実だとすれば、養女とはいえ、さすがはブラネ社長の娘だけのことはあるだろう。　ただ、ガーネットさんは「ジタンと結婚する気持ちに全く変わりはありません！」とのコメントを残している。
大スキャンダル！　シド・ファブール社長が〔また〕浮気！？　『リンドブルム工業株式会社』の社長シド・ファブール９世氏（３５歳）と夫人のヒルダガルデさん（２７歳）との夫婦仲が現在険悪なものとなっている。誰もが羨むおしどり夫婦との評判だった二人のケンカの原因は、シド社長の浮気であるらしい。　取材によると、シド社長は会社からお忍びで外出することが多く、その日も酒場で若い女性に軽く声をかけていたのだが、運悪くヒルダ夫人にそれを目撃されてしまったのである。この程度では浮気とは言えないと思う人もいるかもしれないが、シド社長には過去二度にわたる前科があるため、ヒルダ夫人は「離婚するのと、ヘッジホッグパイになるのと、どちらがいいかしら？」と強気な姿勢を崩さないつもりのようだ。　しかし、オルベルタ部長（５１歳）を始めとする重役たちがヒルダ夫人を必死で宥めており、またシド社長も土下座で謝罪しているため、どうやら事態は収束へ向かいつつあるようだ。
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