Gaia Times
1802年 1月17日
≪月の大戦≫特集(2)
前号までのあらすじ
 ジタンの生還、そして彼がアレクサンドリアに向かう途中で再び消息を絶ったことを知ったガーネットは、恋人を捜しに再び旅に出る。トレノでフライヤ、ク族の沼でクイナと再会し、リンドブルムに到着するが、ダリの村で彼の愛用の短剣を見つけたこと以外、何の手がかりも得られなかった。
 一方、ガーネットの後を追っていたスタイナーとベアトリクスは、道中ならず者に襲われる。何とか撃退したものの、首領格と思しき男が邪悪な怪物に転生して襲い掛かってきたことに、二人は言い知れぬ不安を感じる。
 ガーネットはリンドブルムでの単独行動中、老婆に騙されゾゾールの街へ連れて行かれるが、サラマンダーとラニに助けられる。そしてミコトからの助言を得ようと黒魔道士の村へ向かう。その途中、フォッシル・ルーでスタイナーたちが遭遇したのと似たような怪物の襲撃を受ける。一方、ガーネットを追いかけてゾゾールの街に到着したフライヤたちも、街の人間を全滅させた怪物と戦闘になるがこれを倒し、シャルルという幼い子供を救助する。
 辿り着いた黒魔道士の村も謎の怪物の襲撃を受けていた。翌日、ミコトのテレパシー能力でジタンがイーファの樹にいることが判明する。そして樹上で遂にその姿を発見するが、それは仲間たちの知っている彼ではなかった。

リンドブルムにて
 ジタンに襲われたガーネット、ビビ、サラマンダー、ラニの四人は、リンドブルムに運ばれて治療を受けていた(※1) 危機一髪のところで思いがけない男―――クジャ―――に助けられたのである。無論、最初は誰もがクジャを疑い、一時は一触即発の空気になりかけたが、ミコトの仲裁と、ガーネットたちを危機から救った事実があったため、見張りつき(彼には全く意味の無いことだが)を条件にシド大公は滞在を許した。クジャの話によると、ジタンはインビンシブルを呼び出してどこかへ飛び去ったという(※2)
 トットやオルベルタらが、これまでの情報を基に古文書を調べた結果、謎の怪物の正体は歴史上伝説の存在と思われていた『
ルカヴィ』であることが判明したが、ジタンがどこでそれを知り、なぜ仲間たちを襲わせたのか、その理由までは全く判らなかった。ただ、クジャの「ガイアを滅ぼす使命に目覚めてしまったのかもしれない」という意見に、場は重苦しい沈黙に包まれた。心では否定したくても、それ以外に考えられなかったからだ。
 ともかくガーネットを始めとする八英雄を狙っている以上、ルカヴィは勿論、その眷属(※3)がリンドブルムを襲撃することは明白だった。文献によれば、ルカヴィがその力を発揮するのは紫の夜―――つまり、テラの月がガイアの月の前方に回る形で重なって世界が紫色に染まる2月9日の夜だという。もうあまり日数がない。シド大公の命で城中の防備を強化し、兵士たちの訓練を行った(※4)

白い翼を羽ばたかせてリンドブルムに戻ってきたビビ・オルニティア
画:森の画家キコリ
嵐の前
 紫の夜まで残り数日となったある日、ビビとクジャの姿が城から突然消えた。皆が訝ったがエーコの話によると、前夜ビビが突然クジャの部屋を訪れ、「
もう誰も死ぬのを見たくない。ジタンの代わりにみんなを守れるだけの力をボクに与えてほしい」と強い決意を打ち明けた後、クジャに連れられて城を離れたとのことだった。
 その翌日、今度はミコトが姿を消した。最後に一緒に居たシャルルの話によると、街を散歩している時に二人組の男に連れ去られたらしい。その男たちはミコトを見て、
「ヴァルゴが選んだのは、この娘なのか?」「ああ、間違いない。これで全員揃ったわけだ」と話していたという。
 すぐに捜索が開始されるが、結局ミコトは見つからないまま、そしてビビもクジャも戻らないまま、遂にその夜が訪れた。
紅い月夜の戦乱
 その夜、いつもは紫色に輝くはずの月が、まるで血の色のように真っ赤に染まっていた。
 日没直後、城下町のいたる所で無数のアパンダ・アルケオデーモン・アルテマデーモンが出現し、家々を破壊しながら一斉に城を目指して進攻を始めた。敵の襲来に備えていたこともあり、住民の避難誘導は比較的順調に行われ、クイナやラニは勿論、兵士たちも思いのほか善戦したことにより、被害は最小限に食い止められた。また、この状況にも拘らず天竜の門を潜る一人の男がいた。
 以下の記事では八英雄とルカヴィの戦いの記録を列挙する。
サラマンダーVS不浄王キュクレイン
 
「俺が左腕に武器をつけない理由を知ってるか? それはな……」
 サラマンダーは戦場から少し離れた比較的静かな場所で、一人の男と対峙していた。言うまでも無く、その男はルカヴィであった。正体を現したそのルカヴィは人型ではあるが、ぶくぶくと肥えた非常に醜い姿をしており、呪文による攻撃も仕掛けてくる強敵だった。しかもその身体には強酸でできた血が流れており、攻撃を仕掛けてきたサラマンダーの右腕の皮膚を溶かし、肉を露出させた。しかし、片腕と武器が使えなくなったにも拘らずサラマンダーは余裕の笑みを浮かべていた。キュクレインが怪訝な顔をした次の瞬間、サラマンダーはキュクレインの両腕を圧し折り、左腕一本で軽々と持ち上げたのである。サラマンダーが左腕に武器を装備しない理由、それは左腕の握力・筋力が右腕の数倍もあるため、武器など必要としないからだった。
フライヤ&???VS悪魔王エリディブス
 
「ああ……この御方はいつもそうだ。私が危機に陥った時、どこからでも駆けつけてくださるのだ……」
 フライヤは血を滴らせながら路地裏を逃げ回っていた。敵のルカヴィはゾゾールの街で仕留めた個体とは比較にならない強さだったからだ。レーゼの風で傷を癒す時間さえも与えられなかった。エリディブスの身体に巻き付いている大蛇が熱探知で彼女の居場所を本体に逐一伝えており、執拗に追ってくるからである。とうとう袋小路に追い詰められ、蛇の頭に喉元を喰い付かれて吊り上げられるフライヤ。呼吸も儘ならず、意識が遠くなり行く中、フライヤは愛しい恋人はすでに死んでおり、このまま死ねば彼に逢えるのではないかと考えてしまい、その途端、身体の力が急速に抜け落ちていくのを感じる。しかし、今まさにフライヤの首が圧し折られようとした時、天から降ったハルバードがエリディブスの腹部を刺し貫き、さらに舞い降りた男がハルバードを引き抜いたかと思うと、フライヤに喰らい付いている大蛇の頭部を斬り落とし、落下する彼女を受け止めたのである。
「貴様、何者だ!?」と問い質すエリディブスに対して、男は「邪悪なる者に名乗る名前など、生憎持ち合わせてはおらん!」と、勇ましくハルバードを振るうのだった。
スタイナー&ベアトリクスVSエディー・ファブール公爵(統制者ハシュマリム)→???(聖天使アルテマ)
 
「さぁ聖天使よ、存分にその力を発揮するがいい……」
 アレクサンドリア最強の騎士二人が相手では、いかに依代の肉体が優れていようと勝ち目など無い。そこでエディーは、聖天使が依代に選んだ少女を援軍に呼び寄せた。その少女とはミコトだった。ミコトに二人の相手を任せると、ガーネットとエーコを始末するために城へと向かうエディー。後を追おうとするもミコトに阻まれ、かといって彼女を斬ることもできず苦悩する二人だったが、次の瞬間、突如ミコトが頭を抑えて苦しみだしたかと思うと、聖天使の魂が彼女の身体から離脱してその姿を現した。
クジャ&???VS沈黙の天使ドゥマ
 
「さて、キミは城にいる小さなレディの護衛に行くといい。僕はちょっと会いたい人がいるのでね」
 いかに強大な力を持つルカヴィといえども、固い決意の元に強くなった少年の黒魔法の前では無力も同然だった。クジャは彼にエーコの元へ向かうよう告げると、自らは強い思念をミコトに送り込んで彼女と聖天使を分離させた後、かつての友人に会いに行く。
スタイナー&ベアトリクスVS聖天使アルテマ→聖大天使アルテマ
 
「今度こそ、絶対におまえを守ってみせる!!」
 ルカヴィの中で最強を誇る聖天使の度重なる攻撃の前に流石の二人も苦戦を強いられるが、スタイナーの剣技『
真・月光斬り』とベアトリクスの聖剣技『ショック』により、二人は辛うじて勝利を収める。しかし、聖天使アルテマの真の恐ろしさはここからだった。聖天使はトランス能力を備えていたのである。先程までの面影が全く見られないほど醜悪に、そして巨大な姿に変貌した聖大天使アルテマは、瞬く間にベアトリクスに重傷を負わせ、スタイナーにもグランドクロスやアルテマといった圧倒的破壊力のある魔法を放つ。ベアトリクスを守るため、彼女が倒れている場所から出来るだけ遠くに離れようとするが、ラグナロクも吹き飛ばされ、気が付くと最初の場所に戻されていた。移動したつもりが、聖大天使の良いように遊ばれていただけだったのである。絶望的な力の差を前にスタイナーは死を覚悟をするが、傍に横たわるベアトリクスの微かな声を聞いて立ち上がる。彼の右手には光り輝くセイブザクイーンが握り締められていた。ベアトリクスは最後の力を振り絞って白魔法ホーリーを剣に注ぎ込んだのである。そして、聖大天使の『完全アルテマ』とスタイナーの『魔法剣ホーリー』が激突する―――
クジャVS死の天使ザルエラ
 
「お互い、野望は潰えたわけですが、一応ここで決着をつけておきましょうか」
 皮肉な巡り会わせだった。昔、クジャはブラネに接近するために(ザルエラが依代にしている)キングに協力し、キングもまた、権力と財力を得るために武器商人であるクジャに助力したのである。互いにとっての最後の敵が、その協力者であろうことは薄々感じていたが……。
 戦いは壮絶を極めた。クジャが『
グラビデ』を唱えれば、ザルエラは『グラビジャ』でこれを防ぎ、ザルエラが『暗黒』で視界を遮ろうとすれば、クジャは『サンダガ』の閃光で視力を取り戻す。遂には最上級魔法である『フレアスター』と『フレアジャ』がぶつかり合うが、それでも勝負はつかなかった。しかし、やがてクジャに疲労の色が見えてきた。彼にはかつてほどの魔法を発揮する力が失われつつあったのである。だが、あの戦いを通して『生きること』の意味を僅かながら理解したクジャの身体に変化が起きる。それはトランスであった。
ガーネットVS智天使ケルブ
 
「ジタン、ごめんなさい……気付いてあげられなくて……。待ってて、必ず助けに行くから……」
 身体よりも心のほうに深い傷を負ったガーネットは、ずっと目を覚まさなかった。もう何も見たくなかった。もう何も考えたくなかった。できればこのまま暗闇の中に消えてしまいたかった。しかし、それでいて消えてしまいたくない自分もどこかにいたのだ。「
どうしてだろう? あの時、ジタンは本気でわたしを殺そうとしたのに……」その時、ガーネットに語りかけてくる子供の声が聞こえた。「もう何も考えなくていいよ。こっちにおいでよ。いっしょに遊ぼう。ぼくだけはおねえちゃんの味方だから……」と不思議と安らぎを与えてくれるその声に、ガーネットは思わず手を伸ばしてしまいそうになる。しかしその瞬間、ガーネットの腰に差していたジタンの短刀が光を放ち、鞘から飛び出すと子供を突き刺した。すると、その子供は禍々しい姿の怪物に変貌したかと思うと、断末魔の叫び声をあげて消滅した。時を同じくして救護室にいたシャルルも、同じように怪物に姿を変えて絶命した。シャルルの正体はルカヴィだったのである。
 目を覚ましたガーネットが短刀を握り締めると、そこからまるでジタンの温かさが伝わってくるようで、心の中にあった彼への疑念が嘘のように消え去るのを感じた。そしてあの夜、彼と交わした約束を思い出すのだった(※5)
ビビ&エーコVS統制者ハシュマリム
 
「我らは敗れはしたが……これもあの方の計画のうち……。我らの死は、我らの復活なのだからな!」
 遂にエディーは城内に侵入した。救護室で怪我人の治療に当たっていたエーコは、邪悪な気配を感じてその部屋から人気の無い場所に移動する。思ったとおり、エディーは彼女の後をつけて来た。エーコは展望台でエディーが来るのを待ち構え、姿が見えると同時に『
ホーリー』を連発するが、正体を現したハシュマリムにはほとんど通じなかった。恐怖に震えて目を瞑るエーコにハシュマリムが『メルトン』を放つが、それが命中することはなかった。大きくて真っ白い翼がエーコを守ったのである。そして目を開けたエーコの前には彼―――少しばかり背が高くなり、背中からは白い翼が生えていたが―――ビビの姿があった。そしてビビは『ファイジャ』を唱えてハシュマリムを城下町まで吹き飛ばすと、驚きの声を上げるエーコをリヴ(※6)に任せ、翼を羽ばたかせて後を追った。
 城下町に墜落したハシュマリムは致命傷を受けていた。さらに他のルカヴィが全滅したことを知らされて驚愕する。しかし、ハシュマリムには何故か不敵な笑みを浮かべていた。そして上記の言葉を叫んだ後、自ら光を放って消滅した。同時に街中の魔物も姿を消し、日の出と共に長い夜は終わりを告げた。
 これがリンドブルムで繰り広げられた戦いの全てである。破壊された家屋や負傷者は多かったが、死者の数が少なかったのは不幸中の幸いであった。しかし、ハシュマリムの断末魔の言葉が、皆の心に暗い影を落としていた。
ミコトの話
 その翌日、ガーネットたちは意識を取り戻したミコトから重大な話を聞かされる。ミコトは聖天使に身体を乗っ取られていた時、知識や意識を共有していたため、ルカヴィの正体、そして彼らを操っていたジタンの目的を知ることができたのである。彼の目的は、星一つを破壊できるほどの強大な力を持ったテラの守護召喚獣
ゾディアークの復活。そしてルカヴィとは、遥か昔に分割されたゾディアークの魂が長い年月の間に変化したものであった。さらにミコトは、ジタンがガイアの敵となった理由を皆に告げる―――≪続きは次号≫
※解説

※1
=他の三人とは違い、ガーネットは長いこと昏睡状態だった。ずっと捜し求めていた人に殺されかけ、心に深い傷を負ったことが原因である。
※2=この時クジャとジタンは戦っていない。倒れている四人を守るため、ジタンに黒魔法を放って怯ませた瞬間、彼らと一緒に遥か下の枝までテレポートしたからである。
※3=アパンダ・アルケオデーモン・アルテマデーモンのこと。古文書にはルカヴィに呼び出されて出現すると書かれてある。ルカヴィよりも弱く、頭も悪いが、強力な魔法を使う強敵である。
※4="霧”が消えたため、飛空艇艦隊は全くの無力であった。復興に力を入れていたため、軍事面までには手が回らなかったのも原因である。ちなみに、訓練はスタイナーとベアトリクスが担当したが、兵士たちは皆ベアトリクスから訓練を受けるのを望んでいたとか。もっとも彼女の鬼のような訓練を体験すると、その考えは180度改められたようだ。
※5=一年前、記憶の場所に突入する前日の夜、黒魔道士の村でジタンとガーネットが交わした二人だけの約束のこと。その内容は以下の通り。
 夜、なかなか寝付けなかったガーネットが外に出てみると、夜空を見上げているジタンの姿を目撃する。気になって声をかけたところ彼は驚いた様子で振り返るが、ガーネットだと判って声を上げて笑い出す。しばらく会話を楽しむ二人だったが、やがてジタンが真面目な顔でこう訊ねてきた。
 
ジタン:「あのさ……。オレ、何があっても、ダガーのことだけは信じてるんだ。だから、ダガーもオレのこと信じてくれるかな?」
 
ガーネット:「あ、当たり前でしょう? わたしたち仲間なんだもの」
 
ジタン:「……そうだよな! わりいな、変なこと訊いて」
 ジタンは笑いながら寝室に戻った。
 テラであんな辛い目にあったから、あのようなことを口走ったのだとガーネットは考えていたが、今にして思えば、あの時ジタンはすでに自分の身に何か異変が起こることを察していて、あれはいつも強がっている彼が出した精一杯のSOSだったのではないか、それに気付いてあげていたら、このような事態を防ぐことができたのではないかと自分を責めてしまう。しかし、すぐに立ち直ると、ジタンを必ず助け出すことを決意するのだった。彼女は一年前よりも明らかに成長していたのである。
※6=ビビの子供。クジャがビビを製造装置に入れて改良した際、ビビの身体の中にある“霧”から偶然誕生した。後にこの装置からは、他の黒魔道士たちの子供も造り出されることになる。ちなみに場所はダリ村ではなく、デザートエンプレスの奥深くにある。
ヒツジッチ先生による歴史講座(5)
 1000年前の出来事とルカヴィ
●1000年前、ガーランドはガイアの魂からテラの魂を精製するためイーファの樹の根元にソウルディバイダーを据え、ザ・ソウルケージに“霧”をばら撒かせ、現在の霧の大陸に争いごとを起こさせた。しかし、それだけではテラの魂を集めるのに非常に長い時間が掛かってしまう。すでに4000年も費やしているためガーランドも焦っていた。そこで、テラの守護召喚獣ゾディアークを呼び出し、ガイアの生命を一気に根絶やしにしようとした。ところが、いざガイアに降り立ちゾディアークを呼び出そうとした時、思わぬ誤算が生じた。以前から地脈の乱れに気付いていた一人の女召喚士が彼の前に立ち塞がったのである。女召喚士がバハムートを召喚するとガーランドもゾディアークを召喚して対抗するが、老いたテラのクリスタルから生まれた召喚獣であったことと、女召喚士が禁忌とされていた呪文を唱えたために敗れ去り、ゾディアークの魂は女召喚士の持つ宝珠に封印されてしまう。ガーランド自身も深手を負ってテラへと退却するが、女召喚士も力尽きて命を落としたのを見て一応胸を撫で下ろす。しかしその数日後、全快したガーランドが再びその地に来てみると、女召喚士の遺体も宝珠も消え去っていた。それ以来、ガーランドは召喚士を警戒してガイアの監視を始め、同時に宝珠の行方を探し続けたが、遂に発見することはできなかった。ちなみに、ブラン・バルにおけるジタンの発言「
なんでそんな、まどろっこしいことをしやがる!? お得意の魔法でもって滅ぼしちまえばいいじゃねえか! アレクサンドリアをそうしたように!」に対するミコトの返答「はるか昔……一度はガーランドも強引な手段を試みた……けれど失敗した」は、この一連の出来事を指している。

●ゾディアークの魂が封じ込められた宝珠は、時が流れるに連れて人から人へと渡り、その過程で13個の石に分割された。その時、ゾディアークの魂も同じ数だけ分割した。各々の魂はガイアの人間の欲望・嫉妬・憎悪などを吸い込むようになり、やがて異形の生命体の姿を作り上げた。それがルカヴィである。古文書によると、その石は『
聖石』と呼ばれ、ルカヴィも幾度か復活して人の世に害悪をなしたらしいが、その度に勇者によって退治されたと記されている。ルカヴィが現世に転生するためには、聖石を所有しており、且つ己に相応しい肉体を持つ者と契約を結ばなければならない。依代とされた人間は意識とかつての記憶こそあるが、ルカヴィの魂と融合しているため人間を超越した存在となっている。

●さらに時が流れると、それに連れて聖石の伝説は人々の記憶から失われ、さらに聖石は『
ステラツィオ』と呼ばれるコインに加工されて現在に至る。ちなみに、ガーランドはクジャを作り出した頃にようやく星宮パイシーズを見つけ出し、インビンシブルに保管した。

●テラの守護召喚獣ゾディアークを呼び出すために必要な宝珠、それははガイアのどこにも存在しないが見つけることは極めて容易だ。何故なら空に輝く紅い
こそが宝珠だからだ。

 ルカヴィ&ステラツィオ一覧
1.統制者ハシュマリム星宮レオ)=もっとも早く復活させられ、他の仲間の覚醒を促してきたルカヴィ。エディー・ファブール公爵を依代にした。その影響かガーネットよりもエーコの命を狙っていた節がある。キングの屋敷でザルエラを始め7体のルカヴィを復活させ、ガーネットたち八英雄の抹殺に向かわせる一方、聖天使復活のための依代を捜索する。そしてミコトを誘拐して聖天使の依代に捧げ、機が熟したとして残りのルカヴィを復活させてリンドブルムを襲撃するが、ビビに敗れて消滅する。

2.死の天使ザルエラ星宮ジェミニ)=キング卿を依代に復活したルカヴィ。依代の影響でクジャを殺すことを誰よりも望んでいた。リンドブルムの戦いでトランスしたクジャに敗れて消滅。

3.聖天使(聖大天使)アルテマ星宮ヴァルゴ)=ルカヴィ最強の強さを誇り、さらにトランス能力までも備えている。その代わり復活には多くの魂を生け贄にしなければならず、さらに依代に相応しい肉体も滅多に見つからないのだが、ハシュマリムがミコトという適合者を発見する。リンドブルムの戦いでスタイナーとベアトリクスを後一歩のところまで追い詰めるも、魔法剣ホーリーで撃破される。

4.悪魔王エリディブス星宮オフィユカス)=リンドブルムの戦い直前に復活したルカヴィ。彼らの中では上位に属する強さを誇る。フライヤを追い詰めるが駆けつけたフラットレイに倒される。

5.憤怒の霊帝アドラメレク星宮カプリコーン)=キングが雇った刺客を依代に復活したルカヴィ。ゾゾールの街の住民を皆殺しにして聖天使復活のための生け贄にしようとするが、そこに来たフライヤたちをも抹殺しようとして返り討ちにあう。ちなみに、彼が集めた魂はハシュマリムが持ち帰っている。

6.魔人ベリアス星宮アリエス)=キングが雇った刺客ガリオンを依代に復活したルカヴィ。ガーネットの後を追うスタイナーとベアトリクスを襲撃したが、逆に魔法剣ホーリーで倒される。

7.不浄王キュクレイン星宮スコーピオ)=リンドブルムの戦い直前に復活したルカヴィ。流れる血は強酸で構成されており、サラマンダーとの戦いでは彼の右腕と武器を溶かすが、サラマンダーの怪力を誇る左腕の前に敗れる。

8.地獄の宰相ロフォカレ星宮サジタリウス)=キングが雇った刺客を依代に復活したルカヴィ。ガーネット一行の後を追い、フォッシル・ルーで追いついて戦闘となるが、ガーネットの召喚したイフリートで倒される。

9.地獄の大公レヴィアタン星宮パイシーズ)=キングが雇った刺客を依代に復活したルカヴィ。フライヤを抹殺するためにブルメシアを襲撃するが、フラットレイに倒される。

10.沈黙の天使ドゥマ星宮タウロス)=リンドブルムの戦い直前に復活したルカヴィ。決して弱くはないのだが、ビビとクジャが相手では敵うはずもなく、あっさりと倒される。

11.太陽神ソル星宮リーブラ)=キングが雇った刺客を依代に復活したルカヴィ。クジャを抹殺する使命を帯びてエスト・ガザで彼と襲うが、逆に倒されてしまう。そして、これがクジャがイーファの樹に駆けつける原因となった。

12.蝿の王ゼブブ星宮キャンサー)=キングが雇った刺客を依代に復活したルカヴィ。巨大な蝿の姿をしている。ビビの暮らす黒魔道士の村を襲撃するが、ビビとミコトによって倒される。

13.智天使ケルブ星宮アクエリアス)=ゾゾールの街でシャルルという少年を依代にして復活したルカヴィ。力はルカヴィの中で最弱だが、他人の夢の中に入り込み、その人物を取り殺せる能力を持つ。ずっとガーネットたちの動向を探っており、聖天使の依代に相応しいミコトという肉体を発見した。リンドブルムの戦いではガーネットの夢の中に入り込んで彼女を殺そうとするが、光り輝くジタンの短刀に刺し貫かれて消滅する。









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