テラの守護者(5)『告白 Z side』





ここはガーネットとエーコを迎えに行く途中のヒルダガルデ3号のデッキ――――
ジタンはビビに呼び出されていた。
「ビビ、一体どうしたんだよ? こんな所に呼び出して・・・。」
「あ・・・あのさジタン、エーコに絶対聞くように言われたんだけど・・・。」
ビビが俯きながら言った。
「だから聞きたいことって何だよ?」
しばらく間を置いてビビはジタンに言った。
「あのねぇ・・・ジタンはおねえちゃんのこと・・・スキ?」
「えっ? な、何だよいきなり!?」
ジタンはビビのその言葉に珍しく狼狽した。
「ねえ、答えてよ。」
「そ、そんなの言わなくても分かるだろ?」
ジタンはそれで終わらせようとしたがビビが許してくれなかった。
「お願い、ちゃんと答えて・・・でないとまたエーコに怒られるから・・・。」
そう言うと、ビビは俯いてしまった。
ジタンも困ってしまって頭を掻いた。


それからしばらくして――――
(しょうがないか・・・。)
ジタンがついに折れた。
「・・・分かったよ・・・だけど一回しか言わねえからな。よく聞けよ?」
「うん!」
ビビは顔を上げて元気よく頷いた。
「じゃあ、言うぞ。」
ガーネット本人の前でもないのにジタンの胸の鼓動が自然と早くなった。
性格は軽いくせにこういうことは慣れていないのだ。
ジタンは深呼吸して気持ちを落ち着けた。
そして、ジタンがいよいよ言葉を告げようと口を開けたその時だった。
「ジタンさん、もうすぐ水の祠に到着しまっす!」
スピーカーからこの飛空艇のパイロットであるエリンの声が響いた。
「・・・・・・。」
と同時にジタンは何かを言った。
「えっ、ジタン今なんて言ったの? もう一度言ってよ!」
スピーカーの声によってジタンの声はかき消されてしまったのだった。
「ざ〜んねんでした。一度しか言わない約束だろ?」
そう言うとジタンは内心ほっとしながら出入口へと向かった。
「ちょっと待ってよ、ジタン! そんなのずるいよぉ・・・。」
結局、ビビはこの後エーコに叱られることになった。
しかし、残念ながらビビは気付かなかった。
この時、出入口に向かうジタンが自分でも聞こえないくらい小さな声で、
もう一度だけ自分のガーネットに対する想いを告げたことに――――
inserted by FC2 system