Gaia Times
1802年 1月18日
≪月の大戦≫特集(3)
前号までのあらすじ
 行方不明となっていたジタンと遂に再会できたガーネット。しかし、何故か彼はガーネットと仲間たちに襲い掛かり重傷を負わせる。思わぬクジャの救援で窮地を脱するが、ジタンはインビンシブルを呼び出していずこかへと飛び去った。
 リンドブルムに戻った一行は傷を癒すが、心にまで深い傷を負ったガーネットは目を覚ます様子がない。一連の報告と、トットやオルベルタの調査から、ジタンがルカヴィなる伝説の魔物たちに命じて、ガーネットたち八英雄を抹殺しようと企んでいることが判明する。
 そして、ガイアの月とテラの月が重なった夜、紅い光に照らされるリンドブルムに、遂に無数の魔物が押し寄せてきた。八英雄はルカヴィ相手に苦戦を強いられるが、駆けつけたフラットレイや、力を増したビビ、そして意識を取り戻したガーネットの活躍もあって、どうにか勝利を収めることができた。
 しかし翌日、彼らはミコトからある重大な情報を知らされる。ルカヴィの敗北は最初からジタンの計画通りのことで、彼の本当の目的はテラの守護召喚獣ゾディアークの復活であったのだ。さらに彼女は、ジタンが敵となった理由も告げる。

意識の戻らないジタン・トライバル氏に涙を流しながら口付けるガーネット女王陛下
画:リンドブルム宮廷画家こんぶ
作戦会議〜ヒルダガルデ3号強奪?
 ミコトから全てを聞かされたガーネットたちは、皆一様に暗い表情を浮かべていた。ジタンが自分たちの敵になったわけではないことが解ったのが救いであったが、すでにジタンはテラの月におり、13体のルカヴィの魂も月へと送られた今、ゾディアークの復活はもはや時間の問題であった。一刻も早く復活を阻止しなければならないのだが、インビンシブルもジタンに奪われているため手の打ちようがない。しかし、ミコトによれば一つだけ方法があるという。輝く島跡からもう一度テラへと入り、大昔に使われていた転移ゲートを用いれば月に行けるというのだ。ガーネットたちは直ちに行こうとするが、深手を負っている今の彼らでは勝てるものも勝てなくなるというシドたちの猛反対に遭う。確かに城外で戦闘を繰り広げた仲間たちの傷は尋常なものではなく、ガーネットも大人しく引き下がるしかなかった。しかしその夜、彼女はこっそりと部屋を抜け出し、ヒルダガルデ3号が停泊している飛空艇ドックへと向かう。昨晩から額(かつて角が生えていた場所)がひどく疼き、ゾディアーク復活までもう本当に時間が無いという予感と、こうして休んでいる間にもジタンが一人苦しんでいるかと思うと、皆の傷が治るまで待ってはいられなかったのだ。ところが、ドックではスタイナーが待ち受けていた。シドに頼まれて自分を止めに来たのではと思い、道を空けるよう懇願するが、スタイナーはガーネットを止めるどころか同行を申し出る。さらに「
この人数では止めようがございません」と言うのでドックの中を覗くと、そこにはジタンを除く一年前の仲間が全員揃っていた。その際、仲間たちがガーネットにかけた言葉は以下の通り(発言者までは特定できず)
「フフッ、どうやら中身までジタンに似てきおったようじゃの」
「まったくアル。でも、ワタシたちを置いてきぼりにするところまで似ちゃダメアルよ」

「世話の焼けるお姫さまだぜ……」

「なに言ってるの。あなたが一番先にここに来たくせに!」

「早く行こう、おねえちゃん。ジタンを助けたいのはみんな一緒なんだから」

「みんな……ありがとう……」
「はいはい、泣くならジタンの胸の中で泣いてよねっ!」


 ドックにはミコトもいた。テラの施設を使用することが出来るのは彼女だけだからである。陽が昇り始めた頃、飛空艇ヒルダガルデ3号は輝く島跡を目指して離陸した。
それぞれの別れ
 テラへ向かう前夜におけるガーネット以外の仲間たちの行動を列挙した。
 ビビ=ぐずる息子のリヴを何とか寝かし付け、部屋までエーコを迎えに行った後ドックへと向かう。万一ジタンを救えないことが解った時の覚悟を心に秘めて。
 スタイナー=怪我の具合を見舞うことを口実にベアトリクスの部屋に入るものの、またしてもお互いに想いを伝え切ることができないまま終わる(※1)。だが、最後に彼女からセイブザクイーンを託される。
 フライヤ=重傷の身体を押して戦いに赴こうとするが、廊下でフラットレイに止められる。未だ彼の記憶が戻っていないことに落胆の色を隠せず、いっそ、この場で想いを断ち切ろうとフラットレイに別れの言葉を告げようとするのだが、どうしても言い出せず、逆に彼から強く抱き締められ―――(※2)
 クイナ=リンドブルムから全速力で実家のク族の沼に帰り、師匠クエールの手料理を食べられるだけ食べる。そして死ぬほど食べた後、クエールに
「師匠! ワタシ師匠の弟子だったこと、ホコリに思ってるアル!」と言い残して再び全速力でリンドブルムまで戻る。
 エーコ=夜半過ぎにビビが迎えに来る約束になっているのだが、両親と一緒の部屋で寝ていたため上手く抜け出すことができず、どうしようかとベッドの中で逡巡していると、いきなり両親が話しかけてくる。そして、迎えに来たビビに彼女を託すと快く送り出した。どうやらシドもヒルダも、こうなることを予測していたようだった(※3)
 サラマンダー=リンドブルムでの戦いで重傷を負ったラニと面会。ルカヴィとの戦いで右腕に重傷を負っているので、彼女の大斧を貸してほしいと頼み込む。普通なら大切な商売道具を他人に貸すわけがないのだが、彼から只ならぬ雰囲気を感じ取ったラニは大人しくそれを承諾。もっとも
「いい? 少し貸してあげるだけだからねっ! 失くしたら弁償よ!」と一言釘を刺され、サラマンダーも苦笑いするしかなかった。
 ミコト=ルカヴィとの戦いで体力を消耗したため同行できないクジャから、ジタンを助けるためのある秘策を教えられる。
輝く島跡上空〜再びテラへ
 ヒルダガルデ3号は輝く島跡上空に到着。ミコトが詠唱を始めると閉じられたテラへの入口が開く。再びヒルダガルデ3号の計器が異常を示し始めるが、いちかばちか船体ごと突入。大きなダメージを受けたものの、ヒルダガルデ3号は何とかテラに辿り着くことができた。
テラ〜紅い月へ
 テラは一年前のクジャの暴走によって完全に破壊されていたが、それでも蒼い光を放つ世界はどこまでも広がっていた。テラは未だガイアに取り込まれてはいなかったが、時折り地面が揺れ動き、完全なる崩壊の兆候を見せ始めていた。やがて、ヒルダガルデ3号は転移ゲートのある研究施設へと着陸する。幸いなことに転移ゲートは使用可能だったが、月に行ける人数はミコトを含めて三人まで。議論の結果ガーネットとビビが行くことが決まり、残る仲間はガイアで帰りを待つことになった。
 三人の姿がゲートから消えた瞬間、地面が激しく揺れ動き始めた。とうとうテラの最後の崩壊が始まったのだ。急いで研究所から出ようとするエーコたちであったが、いつの間にか外は魔物の群れに囲まれていた。こちらの動きを察知したジタンが魔物に指令を下したのだ。エーコは召喚獣で、フライヤは槍と竜技で、クイナは青魔法で、スタイナーはセイブザクイーンで、サラマンダーは左腕の大斧で魔物を蹴散らし、辛うじて脱出に成功するのだった(※4)
対峙
 ガイアからは決して確認することができないテラの月の裏側にガーネットたち三人は到着した。そしてジタンがいると思われる神殿を見つけるが、ここに来るまでに多大な魔法力を使用したミコトが疲労で倒れてしまう。二人はミコトの勧めもあって彼女をその場に残すことに。そして、神殿で遂に黒ずくめの服を身に着けたジタンと対峙する。
「お前たちにオレが殺せるのか?と不敵な笑みを浮かべるジタンだったが、ガーネットは冷静に言い放つ。「わたしたちが倒すのはジタンじゃないわ。あなたよ、ガーランド!(※5)
ガーネット&ビビVSガーランド
 
「これが……ジタンを助けられる唯一の手段……!」
 正体を知られたガーランドは目に見えて苛立っていた。八英雄の抹殺に失敗したばかりか、ゾディアークも未だ復活せず、しかも召喚士をここまで侵入させてしまったからである。
「ならば、お前たちの魂をゾディアーク復活の生贄にしてくれる!」と襲い掛かるガーランドにビビが戦いを挑む。魔法力では互角だったが、やがて運動能力に優れるジタンの身体を持つガーランドが優勢に戦いを進め始める。さらにガーランドがリフレクを張ったため、ビビは防戦一方に。ガーネットもビビにリフレクを張るものの、ガーランドほど魔法の反射による攻撃が上手くいかない。だが、ガーランドがとどめを刺そうとする瞬間、彼は急に苦しみ始める。ミコトがクジャが使ったのと同じように強い思念をジタンの頭の中に送り込んだのだ。動きを封じられたガーランドの隙を衝いてビビがいちかばちかのデスを唱える。魂を抜き取られ、抜け殻となったジタンの身体はその場に倒れ込む。ガーネットが駆け寄ってジタンを抱き起こすと、彼は弱々しいながらも確実に、そして穏やかな表情で呼吸を繰り返していた。
 ジタンが生きていることに安堵するガーネットだったが、次の瞬間、神殿が―――否、月全体が激しく揺れ動く。ビビと協力してジタンを背負いながら外に出ると、そこにはアレクサンダーの数十倍以上もある大きさの禍々しき姿の竜―――ゾディアークが出現していた。魂が抜き取られる寸前、ガーランドは自らの魂を生贄に捧げたのである。
バハムートΩVSゾディアーク
 
「わたしの、このちっぽけな命ひとつで星に息づくたくさんの命が守れるのならば―――」
 ゾディアークの咆哮は月の大地を震撼させ、口から放つ黒い光球―――『
暗闇の雲』は星々を飲み込み、その巨体はガイアからでも肉眼で確認できるほどであった。ガーランドが死んだため制御する者がいなくなったゾディアークは、ガーネットやビビなど眼中には入らず、今にもガイアに『暗闇の雲』を放とうとしていた。
 その時、ガーネットが意を決してゾディアークの前に立ちはだかり、召喚魔法―――1000年前にガイアを守った女召喚士が使用した禁呪―――の詠唱を行った。すると、ガーネットの身体がトランスとは異なる輝きを放ち、額からは召喚士の角が生え、黒髪も足元まで長く伸び、服装も召喚士伝統の衣へと変化し、そして、蒼いガイアの月から三対の翼を持ったゾディアークに匹敵するほどの巨大な竜が飛来し、ゾディアークに挑みかかったのである(※6)
 バハムートΩとゾディアークの戦いは、まさしくガイアとテラの最後の戦いでもあった。互いの牙が相手の肉を喰いちぎり、互いの爪が相手の皮膚を引き裂いていく。死闘は果てしなく続くと思われたが、バハムートΩと精神を共有しているガーネットが次第に弱り始め、それと共にバハムートΩも押され始める。しかし、ゾディアークがとどめの『
暗闇の雲』をバハムートΩに放とうとした瞬間、無数の光の矢がゾディアークを貫いた。ガーネットたちの危機に、エーコがたった一人でアレクサンダーを召喚し、『聖なる審判』をゾディアークに向けて発射したのだ(※7)。ガーネットはこの機を逃さず、自分の魔力を全て振り絞って攻撃命令を下すと、バハムートΩは『テラフレア』をゾディアークに放ち、遂にこれを消滅させたのである。(一般的に『月の大戦』はここまでの出来事を指す)
月〜リンドブルム
 
「よかった……みんなを守ることができて……。これでジタンも……。でも、わたしは―――」
 ゾディアークが消滅し、役目を終えたバハムートΩも姿を消した瞬間、ガーネットは意識を失った。慌ててビビはミコトと合流し、意識の無いガーネットとジタンをインビンシブルに乗せてガイアへと帰還し、リンドブルムで懸命の治療を開始した。その結果、ガーネットは数日後に意識を取り戻した。なぜ自分が命を取り留めたのかガーネットは不思議に思ったが、エーコが「
ダガーの中にいる召喚獣が自分たちの存在と引き換えに守ってくれたのかもしれないわ」と説明してくれた。続いてジタンの居場所を訊ねると、エーコは悲しげに見張り塔にいることを告げる。喜ばしいことのはずなのに、どうして悲しそうな顔をするのか判らなかったが、ガーネットはすぐに彼のいる見張り塔へと向かう。そこには、車椅子に座ってこちらに背を向けているジタンがいた。笑顔で駆け寄り、彼の名前を呼ぶガーネットだったが、ジタンは彼女に何の反応も見せなかった。彼は魂の無い抜け殻も同然の身体になっていたのである。
リンドブルムでの日々〜別れ
 
「さようなら……ジタン、愛してるわ。誰よりも…ずっと…いつまでも―――」
 昨年の大戦とルカヴィとの戦いで二度も破壊された城下町も、ようやく以前の賑やかな姿を取り戻しつつあった
(※8)。だが、医師たちの何ヶ月にも亘る治療にも拘らず、ジタンの容態は全く改善せず、むしろ衰えていく一方だった。「やはり、手遅れだったのか……」と誰もが絶望的な結論に達していく中、ガーネットだけは諦めなかった。健気にも、毎日朝起きてから、夜眠るまでのほとんどの時間をジタンと一緒に過ごしたのである。時には飛空艇に乗せたり、時には城下町まで車椅子を押したりと、とにかく自分にできることなら何でもしたのである。その間、一度も弱音を吐くこともなく、泣くこともしなかった彼女の姿は、見守る者たちを涙させた。
 ところが運命は非情だった。先年の大戦で崩壊したアレクサンドリアがようやく復興を遂げ、いよいよガーネットが女王に即位しなければならなくなったのである。ガーネットは愛する人をアレクサンドリアに連れて行きたかったが、ジタンの容態は危険なほどにまで衰弱しており、あと一月ももたない―――皮肉にも、ジタンの命日とされた日はガーネットの18歳の誕生日であった―――とまで宣告され、少しでも長く生きていてほしいと願うガーネットは、遂にジタンを残してアレクサンドリアに戻ることを決意する。そして、国に帰る前日(12月24日)の夜、彼女は眠り続けるジタンに別れの言葉を告げ、ずっと我慢してきた涙を流しながら彼の冷たい唇を盗んだのだった。
目覚めの朝
 
「お願い神さま。もう二人にいじわるしないで……」
 翌朝、エーコは泣きながらジタンの手を握り締めていた。昨夜、ガーネットがジタンに口付ける様子を覗き見てしまったのだ。いつもなら、そんな光景を見たら胸がドキドキするはずなのに、こんなに近くにいるのに逢うことが叶わない二人がかわいそうで涙が止まらなかったのである。しかし、エーコが祈る思いでジタンの手を力強く握り締めた次の瞬間、彼女はハッと顔を上げた。かすかに彼が握り返してきたのである。思わず名を呼ぶと、ジタンは瞼を開き、はっきりとエーコの名前を呼んで微笑んだのだった
(※9)
フィナーレ
 
「ねぇ、どうして助かったの…?」 「助かったんじゃないさ、生きようとしたんだ。いつか帰るところに帰るために。だから歌ったんだ。あの歌を」
 1802年1月15日。ガーネット女王の即位を祝う目的で、二年ぶりに劇団タンタラスがアレクサンドリア公演を行うことになった。城下町もかつての賑わいを見せ、仲間たちとも久しぶりに再会できるのだが、今日にもジタンの命が尽きるかもしれないと思うと、ガーネットの心は悲しみで一杯になる。しかし、「
(いくら悲しんでも、ジタンと過ごしたあの日々は帰ってこない。だから、もう泣いてばかりはいられない。涙は勇気にかえて先に進もう……)」と自らを励ますのだった。
 そして舞台が始まり、やがて場面はマーカスが二つの月に願いを届けるクライマックスへと差し掛かる。ところが、決め台詞と共にローブを脱ぎ捨てた人物はマーカスではなく―――≪Fin≫(※10)
※解説

※1
=スタイナーがベアトリクスに想いを伝えることができたのは、知ってのとおりEDでのことである。
※2=二人の関係が本当の意味で修復されるのは、月の大戦が終わってブルメシアに帰ってからである。
※3=だからこそ、いとも簡単にヒルダガルデ3号を発進させることができたのである。ちなみに操縦はフライヤが行った。最初はガーネットが挑戦したのだが、あまりにも酷すぎてビビやエーコが船酔いを起こす始末だった。
※4
=ほとんどの者は無事ヒルダガルデ3号に辿り着いたのだが、エーコだけが遅れてしまい、魔物に取り囲まれてしまった。サラマンダーがラニから借りた大斧を投げつけ、魔物が怯んだ隙にエーコを救助したのだが、文字通り飛空艇に放り込んだおかげでエーコに怒鳴り散らされるわ、大斧を失くしたおかげでラニに代金を弁償させられるわで散々な目に遭ったとか。
※5=一年前、パンデモニウムでガーランドがジタンを拘束した際、ガーランドはジタンの魂を初期化しようとしたのだが、彼の魂が強くなり過ぎており失敗に終わる。ここまで強くなったジェノムを廃棄するのが惜しくなったガーランドは、老いた自分の新しい肉体にしようと考え、自らの魂の一部をジタンに注ぎ込む。すぐにジタンの魂を乗っ取っても良かったのだが、直後のクジャの反乱で本体が消滅してしまうなどの予想外の出来事が発生したため、ジタンたちがクジャを倒すまでは活動することなく鳴りを潜める。記憶の場所でジタンにしかガーランドの声が聞こえなかったのも、実はこのためらしい。彼が活動を再開するのは、ジタンがアレクサンドリアを目指して旅を始めてから数日後。肉体を乗っ取ったのはダリの村に泊まった日の夜のことである。その後、ジタンの記憶を元にトレノのクイーン家からステラツィオを全て盗み出し、死に掛けていたエディー・ファブールをハシュマリムとして覚醒させ、他のルカヴィの覚醒とガーネットたち八英雄の抹殺を命じ、自らはインビンシブルを呼び出すためにイーファの樹に向かったのである。余談だが、自分でガーネットたちを殺しに赴かなかったのは、ジタンの魂が抵抗を続けたため、しばらくの間は肉体を完全にコントロールできなかったためである。
※6=ガーネットは幼い頃、城の資料室で古い本を読んだことがあった。ページが半分破かれており、難解な文字で書かれていたため、家庭教師のトットから
「これは姫さまがお読みになるには早すぎますかな」と言われたので負けん気を起こし、本の文章を全て暗記してしまったのである。数年後、マダイン・サリで偶然残りのページを見つけ、記憶を辿りながら文章を繋げてみると、召喚魔法のスペルとなり、これが元々は一つのものであったことを知ったのだが、ページには『この召喚魔法は唱えた者の命を奪う禁呪である』と付記されていたので、今まで誰にも話すことはなかったのである。
※7=ガイアに帰還し、この時リンドブルムに到着していたエーコたちだったが、紅い月で繰り広げられている戦いでバハムートΩが追い詰められつつあるのを見て、エーコの提案で急遽アレクサンドリアへと向かい、エーコの持っている宝珠のかけら二つと、ガーネットがアレクサンドリア城に残していった宝珠のかけら二つを併せ、アレクサンダーを再び召喚したのである。ちなみに、損傷の激しいヒルダガルデ3号はこれが最後の活躍となった。
※8=この時点までの仲間たちの行動は以下の通り。
 ビビ&エーコ=数ヶ月前の7月のある夜、突然エーコをデートへと誘う。彼女を背中に乗せて夜空を飛び回るという、それはそれは楽しい時間を過ごしたのだが、最後になっていきなりエーコが泣き出してしまう。ビビがもうすぐ止まってしまうことに気づいてしまったのだ。ビビがどんなに慰めてもエーコの涙は止まらなかったが、こうして素敵な時間を過ごせたことに、エーコはやっとの思いで
「ありがとう」を言うのだった。そして数日後、ビビの魂はクリスタルの流れへと還っていった。エーコはまた泣きたくなったが、もっと大泣きする息子のリヴを慰めるのに精一杯だったとか。その後、リヴが黒魔道士の村に帰るまで、エーコは彼の遊び相手になっている。
 スタイナー&ベアトリクス=ジタンの身を案じるガーネットを残してアレクサンドリアへと戻り、治安と復興作業に従事する。ベアトリクスが国を出ようとしていたことと、スタイナーがそれを引き留めようとしたのは知ってのとおり。
 フラットレイ&フライヤ=ブルメシアへと戻り、国の復興を指揮する。そして二人は二度目の恋に落ちることになる。
 クイナ=アレクサンドリアで料理長として再登用されることが決まり、スタイナーたちと一緒にアレクサンドリアへ。
 サラマンダー=アレクサンドリア領では追われる身なので、しばらくはリンドブルムに留まり、ラニの大斧の弁償するための資金10万ギルを稼ぐことになる。
 ラニ=南ゲートでお店でも始めようかと資金を集め始める。EDでサラマンダーに誘われてアレクサンドリアに向かうのは知ってのとおり。
 ミコト=しばらくはリンドブルムで過ごすが、ビビが止まると彼の遺体を埋葬するために黒魔道士の村に戻る。
 クジャ=大戦後、突然リンドブルムから姿を消す。しばらくは消息不明だったが、数ヶ月後にキング家で暮らしていることが判明する。その後は一貴族として表舞台に出ることなく楽しい(?)余生を過ごす。
※9=ジタンの意識が蘇った直接の原因は今も判っていない。『
王女様のキス』が奇跡を起こしたからだとか、先に死んだビビが、自責の念に囚われていたジタンにガーネットの所に帰るよう説得したからだとか、今も人々の間で噂となっている。ただし、意識を取り戻せたのは彼が生きようとしたからだということは間違いないだろう。
※10=この後、舞台の上で何が起こったかは誰もが知っている通りである。
ヒツジッチ先生による歴史講座(6)
 ダゲレオ
●セイクロブレス島の岩山の中に巨大な図書館を建造したという、性別・種族・経歴が一切不明とされる謎の学者。この場所に図書館を建造した理由すら、『
戦災から図書を守るためだった』・『伝説の龍神の力を得るためだった』など、今も学会で様々な説が唱えられている。最近ではある女性研究家Mの唱える、「ダゲレオは完成と同時に姿を消して、未だ歳を取らずに生きているか、もしくは凍結保存されているのではないか」という『ダゲレオ生存説』。そして、「図書館を作る代わりに自分を龍神に捧げた」という『ダゲレオ人身御供説』が注目を集めている。図書館を建造した方法も『龍神の力を借りた』・『多くの労働者を雇って造らせた』など仮説の域を出ず、ある意味で、彼(彼女)こそがガイア史上最も謎の人物なのかもしれない。









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