Gaia Times
180?年 8月 9日
スクープ!! 城内にて大事件勃発!?
 普段、我々が王宮内での出来事について知ることは非常に難しいが、今回本紙はある人物に接触し、王宮内で起きた何とも人騒がせな、いや微笑ましい事件の情報を入手することに成功した。
 先日、ベアトリクス将軍が女王の間周辺の見回りをしていると、何か物が割れるような音と女王陛下の叫ぶ声が聞こえてきたため、賊の侵入かと思い女王の間に飛び込んだそうである。そこで将軍が見た光景は、食器や物が散乱している部屋と、床に座り込んで泣きじゃくっているガーネット女王陛下の姿であった。将軍が女王陛下を落ち着かせて何があったのか聞いてみたところ、女王陛下の想いの人として城下町では有名なジタン・トライバル氏とケンカをしたのだそうである。
 ケンカの原因は、彼が女王陛下の好物である『桃色プディング』を勝手に食べてしまったことにあった。女王陛下が怒っても、ジタン氏が全く悪びれる様子も無く、「おやつくらいで怒んなよ」と言ったため、怒りが爆発し、泣きながら周囲の物を投げつけて、「出て行って! もう顔も見たくないわ!」と彼を追い出したのである。
 女王陛下が怒った理由は、この『桃色プディング』が、まだ幼い頃の女王陛下の誕生日に、母君であるブラネ前女王が夫と共に作ってくれた思い出の料理であるためらしい。
 話はこれで終わらない。女王陛下はその後、さすがに言い過ぎたと反省し、ジタン氏に謝罪しようとしていたのだが、彼はその日から行方不明になってしまったのである。女王陛下は自分のあの一言が彼を絶望の淵に追いやったのではないかと危惧し、スタイナー隊長やベアトリクス将軍に密かに命じて彼の行方を捜索させたが全く手がかりが掴めず、彼が本当に自分の前から消えてしまったのではないかと思い、その日から三日三晩泣き伏したそうである。
 だがその翌日、全てが解決した。ジタン氏が厨房で料理を作っていたところを発見されたのである。彼は女王陛下に謝罪するため、クイナ・クゥエン宮廷料理長に弟子入りし、この数日間厨房に泊り込みで『桃色プディング』の上手な作り方を学んでいたのであった。
 この後、ジタン氏はスタイナー隊長とベアトリクス将軍によって厳しいお灸を据えられてから女王陛下に面会したそうである。

女王陛下のおやつを食べてご満悦のジタン.・トライバル氏と、
ムッとした表情のガーネット女王陛下(想像図)
画:宮廷画家クリムソン
【お詫び】
 本紙では、この後のジタン・トライバル氏とガーネット女王陛下がどんな様子だったのかを詳しく記事にしたかったのですが、情報提供者であるブルツェンさんとの接触が彼の上司であるスタイナー隊長にばれてしまったため、それが不可能になったことをここに深くお詫び申し上げます。その代わり、ブルツェンさんが連れて行かれる直前に話してくれた内容をここに掲載します。
(内容は非常に聞き取りにくかったことをお断りしておきます)
「・すがにこれは確かな証拠・ないん・けど、ジタンさ・と女王・下はあの後、抱・合・てキ・・たらしいよ……」
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