飛空艇革命(1)


 青き星ガイアに存在する4つの大陸の中で、最も文明が発展している霧の大陸。
 この大陸では長年にわたって国家間での争いが続いていた……。


 始まりは1000年前、今では名前すら伝わっていない統一国家が崩壊し、大小様々な王国が誕生した。
 それから数百年もの間、各国の王たちは他国を滅ぼし、大陸全土を我が物にせんとする野望のために戦争を繰り返した。
 その度に苦しむのは国民であるという事実に見向きもせずに……。


 そして500年前、結果的に3つの大国が残った。
国土が三国一の広さを誇る女性中心の国家、アレクサンドリア王国。
 最も機械文明が発達しており、大陸一の人口を誇るリンドブルム公国。
国力は他の二国に劣るものの、白兵戦においては無敵の竜騎士団を主力とするブルメシア王国。
 もちろん、国の数が少なくなったからと言って戦争が終わったわけではなかった。
三国は終わりなき戦争を繰り返した。
 戦争を行うための大義名分などどうでも良かった。
『正義のため』、『神のため』、『国のため』、『王のため』のような綺麗事はもちろん、挙句の果てには『報復のため』(早い話が『やられたらやり返せ』という子供のケンカのような精神)に戦争を始める始末だった。


 そして100年前、国境付近の領地の奪い合いが繰り返される戦国時代に突入し、戦争は激しさを増していった。
 だが、この頃になると、三国間に微妙な均衡状態が保たれるようになり、徐々にではあるが戦争を止めようとする動きが出始めていた。
 理由は総合的に見て三国の力がほぼ互角のため、戦争を仕掛けてもただ自国の国力を疲弊させるだけであることに気付いたからである。
 また、何百年にもわたる戦争で国民の中にも厭戦気分が広がっていたのだった。


 その結果、50年前から大規模な戦争は行われなくなっていった。
 相変わらず国境付近での小競り合いは続いていたが。


 そして、運命の1770年を迎えたのだった――――
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