on Christmas Day
〜prolog〜



走れソリよ風のように
雪のなかを軽く早く




「じゃあ、行ってくるぜ!」

アレクサンドリアの街が眩い光に包まれるこの日。
タンタラスの紅一点、ルビィに見守られながら、金髪の猫のような彼は城へ向かう。
大きな大きな白い袋を持って。




笑い声を雪にまけば
明るい光の花になるよ




「ああ、それはこっち!」
「はっ!」

城のシャンデリアがより一層、輝くこの日。
城のホールで、この国の女王と兵士、大臣達がせっせと何かの準備をする。
そして、高いもみの木がすぐに運ばれる。




ジングルベルジングルベル
鈴が鳴る
鈴のリズムに光の輪が舞う




「お父さん、お母さん、はやくはやく!もう、遅刻しちゃうじゃない!」

飛空艇が白い雪の中、飛び交う日。
リンドブルムの城で、その国の姫様が父親と母親の手を引っ張っている。
はやく飛ぶ飛空艇、ヒルダカルデに乗ろうとしながら。




ジングルベルジングルベル
鈴が鳴る
森に林に響きながら




「フラットレイ様も行きましょう」

雨の代わりに雪が降る日。
ブルメシアの街の広場で、赤い服を着た竜騎士が一人の男性を誘う。
小さな可愛い子供達を連れて。




走れソリよ丘の上は
雪も白く風も白く




「旦那、時間じゃないの?」
「・・・・・行くか」

雪がいつも舞う中、もっと舞う日。
エスト・ガザの入り口で恋人達が話している中、そこに何かが落ちてきた。
拍手がそこを包み込む。




歌う声は飛んでいくよ
輝きはじめた星の空へ




「べ、ベアトリクス!」
「スタイナー・・・」

城の船着き場に二つの月が映る日。
鎧を着た男性と女性は顔を真っ赤にしながら何かを言っている。
こっそり忍び込んだタンタラスの二人組に見守られながら。




ジングルベルジングルベル
鈴が鳴る
鈴のリズムに光の輪が舞う




「これで完璧アルね!・・・・・・美味しそうアル・・・」

城の調理場に見慣れないケーキと料理が並ぶ日。
ク族の彼は自分の作った料理を見つめながら自分の過ちに気が付きもしない。
大きなよだれをケーキに垂らしているのに。




ジングルベルジングルベル
鈴が鳴る
森に林に響きながら




「今日はクリスマスというものらしいわ」

枯れた森にどっさりと雪が積もった日。
黒魔道士の村では一人のジェノムが小さな墓の前にリースを飾り、ケーキを置いている。
茶色いとんがり帽子も白くなり、空には星が小さく輝く。








今日は楽しいクリスマス。
七人の仲間達はアレクサンドリア城へと向かう。
一人は空の上からこの日を祝う。

さあ、そろそろ始まるよ。
素敵な素敵な夜が。





                                        




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